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レンズを通した心の対話


野上透 作品展 「文士の肖像」


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1974年11月18日 五木寛之


 JCIIフォトサロンでは、9月2日(火)から9月28日(日)まで、

野上透作品展「文士の肖像」

を開催いたします。

 学生時代から人物写真を撮るのが好きだった野上氏は、日本大学芸術学部写真学科を卒業後、講談社に入社し、1959年『週刊現代』の創刊にともない編集部員として、表紙、グラビア等の撮影、編集にたずさわりました。1964年にフリーランスとなってからは雑誌や書籍等で人物、報道写真、ルポルタージュなどを撮り続けます。昨年5月に甲状腺癌で他界するまでの約40年間、様々な分野で活躍する著名人たちを撮影する機会に恵まれ、数多くの貴重な写真を遺しました。

 今回の作品展では小説家、評論家、詩人をはじめとする文士たちの肖像写真、モノクロ約110点を展示します。1960年撮影の佐藤春夫をはじめ、五木寛之、三島由紀夫、司馬遼太郎、遠藤周作、宮尾登美子、井上靖、石坂洋次郎、海音寺潮五郎、木下順二、今東光、松本清張、向田邦子、大江健三郎、大岡昇平、椎名麟三ら(敬称略)、昭和を代表する文士のポートレイトばかりで、文学全集『われらの文学』『現代の文学』『秀作シリーズ』(いずれも講談社刊)や単行本の口絵写真として撮影されたものを中心に構成されています。

 人物撮影について、「その人物らしさをつかみ、どう表現するかを、瞬時に判断しなければならない」ので「写真は格闘技である」と言った野上氏の写真は、撮影後のトリミングを極力避け、自然光にこだわった撮影方法で彼ら達がみせる独特のまなざしをとらえており、被写体である文士たちの人間性やそれぞれを取り巻く空気感がにじみ出ています。そして氏自身もまた、魅力的な人柄で周囲の人々に親しまれていました。展示するのはそんな写真家と文士たちの、レンズを通した心の対話が聞こえてくるような作品の数々です。
 


● 野上 透(のがみ とおる)

 1935年東京生まれ。本名、根岸秀廸(ねぎしひでみち)。1958年日本大学芸術学部写真学科卒業、講談社入社。1959年『週刊現代』の創刊にともない編集部員として表紙、グラビア等の撮影、編集にたずさわる。1964年フリーランスとなり雑誌、書籍等で人物、報道写真、ルポルタージュなどを撮る。1965年全集『われらの文学』全2巻で人物写真を担当。1970年全集『現代の文学』全39巻等で作家の人物写真を担当。1975年『日本現代写真史展 終戦から昭和45年まで』の編纂委員。1977年第8回講談社出版文化賞受賞。写真展に、「本日も晴天なり」「文化悠遊」「顔で綴る時代史」など多数。主な著書(写真担当)に、『戦後史』『薬師寺への誘い』『女人古寺巡礼』など多数。2002年5月死亡、享年67歳。

 


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