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土田 ヒロミ 作品展

「砂を数える」




HIROMI Tsuchida



 JCIIフォトサロンでは、2004年10月26日(火)から11月28日(日)まで、土田ヒロミ作品展「砂を数える」を開催いたします。

 「砂を数える」というタイトルは、ある数学書の一文を引用しています。「アルキメデスは全宇宙の砂の数をかぞえてみようと思い立った」、つまり無限を数量化しようとする行為をあらわしています。そして東洋では、数え切れないほど多くのものや無限のひろがりには畏れや敬いが先に立ち、宗教的な意味合いをもたせることも多くあります。"無限"に対峙するとき、人は自分の存在をとても小さなモノだと感じ、逆に自分もその"無限"を構築するひとつであることに気付くのではないでしょうか。

 土田氏は祭りやセレモニー、葬列などの"ハレ"の日にどこからともなくわき出し集まってきた群衆を、全体として捉え、孤立させず、群れとしてあるがままの姿を写真に写し込みました。なぜ集まったかという目的をできるだけ排除し撮影した、目の前に広がる異様な空間。しかしそこに見えてくるものは、ぽっかりと空いた時間で手持ち無沙汰によそ見をする個人、あるいは、他人だらけの枠の中で街中にいるのと変らないように友人とお喋りをしている普通の人であったりします。それは写真のこちら側から見ている私たちと何ら変らない、一人一人の人間の寄せ集めでもあります。

 今回の作品展では、初詣に訪れた参拝客、平和記念公園での原爆死没者慰霊式典に参列した市民、原宿の街角でバーゲンセールの開場に並ぶ若者たち、そして大喪の日に記帳に並ぶ人びとなど、ドキュメンタリー写真家である土田氏が都市の中でみかけた人の群れだけを切り取った作品60〜80点(全作品モノクロ)を展示します。



★土田ヒロミ講演会 「変容する時代と私」 2004年11月20日(土)14:00〜16:00 JCIIにて



●土田 ヒロミ (つちだ ひろみ)

 1939年、福井県に生まれる。福井大学工学部在学中に写真を始める。1963年、大学卒業後化粧品会社に入社。1971年、同社を退職し、以後フリーとなる。1971年「自閉空間」で第8回太陽賞、1978年「ヒロシマ1945〜1978〈原爆の子〉の三十余年」で第3回伊奈信男賞、1984年「ヒロシマ」で日本写真協会年度賞、1986年J・C・J奨励賞をそれぞれ受賞。現在、ニッコールクラブ常任幹事、ニコンサロン運営委員、日本写真協会会員、日本写真家協会会員、大阪芸術大学教授。
 
おもな写真展に、1971年「自閉空間」(ニコンサロン)、1974年「ニュージャパニーズフォトグラフィー展」(ニューヨーク近代美術館)参加、1977年「砂を数える」(ミノルタフォトスペース)、1985年「ヒロシマ」(有楽町朝日ギャラリー)、1993年「ヒロシマ・モニュメントII」、1997年「Ageing」(以上、ニコンサロン)、1999年「Berlin in 1999」(クリエイションギャラリーG8)、2001年「広重 東海道五十三次における―模写考―」(LIGHT WORKS)ほか多数。おもな写真集・著作に、1976年「俗神」(オットーズブックス社)、1980年「青い花」(世文社)、1985年「ヒロシマ」(佼成出版社)、1990年「砂を数える」(冬青社)、「パーティ」(アイピーシー)、1995年「ヒロシマ・モニュメントII」(冬青社)、「ヒロシマ・コレクション」(日本放送協会)、2001年「ベルリンウォール」(メディアファクトリー)など。



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