写真展

「幕末・明治 描かれた古写真の世界」

開催期間:2022年2月1日(火)2022年2月27日(日)
草双紙「金花七変化 三十一編 上巻下巻」
※上巻と下巻の表紙を合わせたもの 四代目歌川豊国
明治3年(1870) 左右ともに:178×115mm

 
 JCIIフォトサロンでは、古写真シリーズの41回目として、来る2022年2月1日(火)から2月27日(日)まで、「幕末・明治 描かれた古写真の世界」を開催いたします。

 今回は幕末期から明治期に描かれた、写真やカメラを題材にした錦絵(木版多色摺の浮世絵版画)や雑誌の口絵、広告などに使われた絵をご紹介いたします。

 浮世絵が描かれるようになったのは、江戸初期の頃です。当時の風俗や名所などを描いた浮世絵には、肉筆画と木版画の2種類があり、肉筆画は高価で庶民にはなかなか手が出せないものでしたが、木版画は大量生産することで安価で販売され、人々に広く親しまれました。最初は墨一色で刷られた墨(すみ)摺(ずり)絵(え)と呼ばれるものでしたが、次第に色付けされるようになり、江戸中期には多色摺りの華やかな浮世絵木版画「錦絵」が誕生しました。

 日本が開国され、来日した西洋人達が往来するようになると、その姿や生活の様子は、世相を表現する浮世絵師たちの目に留まり、「横浜絵」と呼ばれる錦絵が誕生しました。西洋文化を描いたそれらの錦絵は、やはり庶民にも人気があったようです。

 幕末期に日本に写真が伝来すると、西洋人が写真を撮影する姿が、錦絵にも描かれるようになりました。明治になると、美人画や役者絵、戯画などにもカメラや写真が描かれるようになり、人々を楽しませていたようです。しかし、明治20年代後半になると、写真の普及により錦絵が衰退します。その後、木版再興を図った出版社により、雑誌や小説などの木版口絵が確立されました。口絵とは、本のはじめに入れられる彩色画で、江戸時代までの絵草子に慣れ親しんでいた人々にとって、小説の登場人物が描かれた口絵は読解の助けともなっていたようです。

 錦絵とはまた違う趣がある木版口絵でも、森に流れる小川を背景に小型カメラを持つ女性の姿などが描かれました。時代を追ってそれらの絵を見ていくと、西洋から伝わった写真の技術を日本人がどう捉え、その後、どうなれ親しむようになっていったかという過程が伝わってきます。

 今回の展示では、三代目歌川広重(うたがわひろしげ)、豊原国周(とよはらくにちか)、落合芳幾(おちあいよしいく)、ジョルジュ・ビゴー、湯川松堂(ゆかわしょうどう)、筒井年峰(つついとしみね)など、20名以上の著名な浮世絵師や口絵画家によって描かれた、55枚の絵で古写真の世界をお楽しみいただきます。

 この他にも、レンズを使った望遠鏡や幻燈、虫眼鏡などが描かれた絵や、写真館で使われていた包装紙や箱などに描かれた広告なども、合わせて展示いたします。

※基本的に現物展示となりますが、状態が悪いものや草双紙内の作品は、複写プリントでの展示となります。


タイトル

「幕末・明治  描かれた古写真の世界」

開催期間

2022年2月1日(火)~2月27日(日)

展示内容

幕末期から明治期に描かれた、写真やカメラを題材にした錦絵(木版の多色摺の浮世絵版画)や雑誌の口絵、広告などに使われた絵を展示。日本が開国され、西洋人達が往来するようになると、その姿や生活の様子は浮世絵師たちの目に留まり、「横浜絵」と呼ばれる錦絵が誕生した。幕末期に日本に写真が伝来すると、西洋人が写真を撮影する姿が、錦絵にも描かれるようになった。三代目歌川広重、豊原国周、落合芳幾、ジョルジュ・ビゴー、湯川松堂、筒井年峰など、20名以上の著名な浮世絵師や口絵画家によって描かれた、55枚の絵で古写真の世界をお楽しみいただく。

展示点数

55点

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

入館料

無料

日本カメラ博物館YouTube公式チャンネル

明治初年から明治18年以前に東京の名所を撮影した写真がまとめられている、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖をベースに、古地図や幕末・明治の写真おり交ぜながら井桜直美研究員が現在の様子と比べて紹介するシリーズ「東京百景」は、日本カメラ博物館YouTube公式チャンネルでご覧になれます。

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。