写真展

幕末・明治の古写真展「盛岡の収集家・村田明コレクション Part Ⅰ」

開催期間:2026年2月3日(火)2026年3月1日(日)

旧盛岡藩主・南部利剛
明治13年(1880)頃 東京印刷局か 鶏卵紙 148×98mm

 JCIIフォトサロンでは、古写真シリーズの49回目として、来る2026年2月3日(火)から3月1日(日)まで、「幕末・明治の古写真展 盛岡の収集家・村田明コレクション PartⅠ」展を開催いたします。

 今回ご紹介いたします「村田明コレクション」は、岩手県盛岡市にて写真館を経営されながら古写真の収集を行っていた村田明氏(1938-2022)によるものです。明治期の湿板写真や手札判写真を中心として、写真帖、ガラス絵、浮世絵など多岐にわたります。また村田氏は収集のみではなく、そのコレクション群の歴史的背景、写真伝来以降の日本における写真史に関しても非常に精力的に研究されていました。調査資料には多くの書き込みと付箋があり、挟み込まれた領収書や手紙からは自らの足で写真資料を探し歩いた痕跡と、多様な方々との交流が垣間見えます。研究内容も様々な分野におよび、コレクションのジャンルも絵や陶器など幅広く、文化への視野を広く持たれていたことがわかります。

 村田氏は父親の影響で写真に興味を持つようになり、昭和32年(1957)に東京写真短期大学(現・東京工芸大学)に入学し、この時、当時学長を務めた鎌田弥寿治氏の「写真発達史」受講を契機に、60年あまりの写真収集、研究の日々が始まりました。大学卒業後はカメラマンとして会社保険法規研究会(現・法研)に勤めますが、昭和41年(1966)村田氏が28歳の時、夫人と1歳になった息子を連れて郷里・盛岡へ戻り、翌年には写真館を開業しました。経営は波に乗り、さらに2店舗を市内に設け事業を拡大していきました。平成15年(2003)年に閉館するまでの36年間、「村田写真館」は地域の人々に親しまれる存在でした。

 今回の展示では今年6月に村田家よりご寄贈いただいた「村田明コレクション」から東北の風景、幕末明治期の人々、写真師・下岡蓮杖の3セクションに分けてご紹介いたします。まずは、村田氏が長く過ごされた郷土盛岡の旧藩主である南部利剛やその長女で華頂宮家に嫁いだ南部郁子の肖像写真に加え、岩手、山形、秋田、青森など明治期の東北地方の風景写真、二つ目に、明治期に特に人気を博した歌舞伎役者の九代目市川團十郎、五代目尾上菊五郎、初代市川左團次、京都の人気芸妓だった江良加代、後年に女優として活躍した花魁・三代目今紫などを中心に、幕末明治の人々の姿をご紹介いたします。三つ目の下岡蓮杖については、村田氏が熱心に研究に取り組んでいたと思われ、蓮杖の姉・さだのご子孫とも交流を築かれていたようです。写真の開祖の一人である蓮杖は元々狩野派の絵師で、晩年には写真を一区切りにして絵を描いて過ごしました。今回は大変珍しい蓮杖の家族の肖像写真や、晩年に描いた掛け軸と絵、また陶芸家の六代目尾形乾山を父に持つ蓮杖の孫娘・尾形奈美(乾女)の陶芸作品も展示いたします。村田氏ならではの幅広いジャンルのコレクションをどうぞご覧ください。

 また、今後開催予定の「幕末・明治の古写真展 盛岡の収集家・村田明コレクション PartⅡ」展では、ガラス湿板に写された幕末明治の人々や、明治時代を代表する偉人たちの写真などをご紹介いたします。

★この展示に合わせて、2026年2月21日(土)に古写真収集家の石黒敬章氏をお招きし、日本カメラ博物館の古写真研究員・井桜直美とのトークショーを開催いたします。事前予約制となっておりますので、参加ご希望の方は、JCIIフォトサロン(03-3261-0300 受付時間10-17時)までお申込みください。


タイトル

幕末・明治の古写真展「盛岡の収集家・村田明コレクション Part Ⅰ」

開催期間

2026年2月3日(火)~3月1日(日)

展示内容

盛岡にて写真館を経営されていた収集家、村田明氏による古写真を中心とした「村田明コレクション」より約90点を展示。旧盛岡藩主・南部利剛とその娘で華頂宮家に嫁いだ南部郁子の肖像写真や村田氏の郷土・盛岡をメインに、岩手、山形、福島などの東北の風景写真を26点、幕末期の侍や九代目市川團十郎などの歌舞伎役者に加え、京都の人気芸妓だった江良加代や芸人など幕末明治の人々の姿を37点、さらに写真の開祖・下岡蓮杖の家族の肖像写真や、狩野派の絵師でもあった蓮杖が晩年に制作した掛け軸や絵、蓮杖の孫である陶芸家・尾形奈美(乾女)の陶器作品など、幅広いジャンルの作品をご覧いただく。

展示点数

90点

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(※2月23日は開館)

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。

 

掲載日:2025年12月12日(金)