写真展

杉山吉良作品展「―松永安左ヱ門生誕150年― 美しき巨人」

開催期間:2026年3月3日(火)2026年3月29日(日)

1960年撮影
小田原・老欅荘にて 1964年11月28日撮影

 JCIIフォトサロンでは、来る2026年3月3日(火)から3月29日(日)まで、杉山吉良作品展「―松永安左ヱ門生誕150年― 美しき巨人」を開催いたします。

 本展では、写真家・杉山吉良が実業家で茶人としての顔も持つ松永安左ヱ門の晩年の姿を捉えた作品、73点(すべてモノクロ)を展示します。

 写真家・杉山吉良(1910–1988)は、女性を主題とした作品を発表する一方、文藝春秋特派員、陸軍報道班員として中支戦線や太平洋戦争アッツ島上陸作戦の戦火を記録し、またアマゾンの秘境やインディオの生活を捉えるなど、幅広い被写体を撮影してきました。なかでも、政財界の要人や文化人の肖像写真は、被写体の内面や時代の空気を静謐かつ力強く写し出した作品として高く評価され、杉山のライフワークとなりました。

 松永安左ヱ門(1875–1971)は、明治から昭和にかけて日本の電力事業の発展に尽力した実業家です。戦後の電力再編成においても中心的役割を果たし、「電力王」「電力の鬼」と称されました。一方、還暦を迎える頃からは「耳庵(じあん)」と号し、茶人、美術品収集家としても広く知られています。

 二人の出会いは1960年代、松永が80代後半の頃でした。松永の顔の美しさに魅了された杉山は、側近の宇佐美省吾氏を介して小田原の邸宅を訪れるようになります。

 望遠レンズで遠慮がちに撮影していても、「つい前へ前へと出てゆき、老の顔に近づけるぎりぎりまで接近してしまう」ほどの執念を見せ、時には松永に叱責されることもあったといいます。それでも松永は杉山を「カメラの鬼」と呼び、訪れるたびに笑顔で迎えました。そこには、厳しい実業家としての姿とは異なる、温かな人間的交流がありました。

 老欅荘(ろうきょそう)(神奈川県小田原市・1946年創建)でくつろぐ姿、内閣総理大臣就任以前の池田勇人との会食の場面、茶室でひとり茶を点てる様子、満90歳にして堂ヶ島(静岡県)の海で元気に泳ぐ姿など、本展には撮影者と被写体、二人の「鬼」の心の交流から生まれた、かけがえのない記録が並びます。

 「電力の鬼」と「カメラの鬼」が出会い、約10年にわたる深い信頼関係のもとで生まれた写真群は、単なる記録を超えた作品となっています。松永安左ヱ門生誕150年という節目に開催される本展を通して、レンズ越しに浮かび上がる“美しき巨人”松永安左ヱ門の人間味あふれる姿を、あらためてご覧いただければ幸いです。

杉山 吉良(すぎやま きら)
1910年静岡県伊東市に生まれる。1923年早稲田中学中退後、叔父の岩崎写真館の門下となる。パラマウントニュース社、大森白木屋写真室を経て、数々のヌード写真、ドキュメンタリー写真を発表。1988年逝去、享年78歳。写真集に「アリューシャン戦記」(六興商会出版部、1943年)、「裸族ガビオン」(光文社、1958年)、「写真集 松永安左エ門」(フェイス、1965年)、「NUDE」(ノーベル書房、1983年)など多数。

松永 安左ヱ門(まつなが やすざえもん)
1875年長崎県壱岐島に生まれる。1889年慶應義塾に入学。日本銀行職員、石炭商などを経て、1909年福澤桃介と共に福博電気軌道を設立、1912年九州電灯鉄道の取締役に就任。1917年衆議院議員となる。1921年関西電気副社長、1922年同社と九州電灯鉄道を合併して、東邦電力を設立し副社長、1928年社長に就任。電力の国家管理反対の急先鋒として活躍したが、国策会社日本発送電が発足して国家統制が強まると、1942年東邦電力を解散し全事業から引退。戦後、1949年電気事業再編成審議会会長に選出され、全国9ブロックに発電・送電・配電一貫経営の民間会社を置く体制を断行し「電力の鬼」と呼ばれた。1934年には、58歳にして耳庵(じあん)と号し、多くの茶会を催し、茶器や美術品を多く集める。1971年逝去、享年96歳。


タイトル

杉山吉良作品展 「―松永安左ヱ門生誕150年― 美しき巨人」

開催期間

2026年3月3日(火)~3月29日(日)

展示内容

写真家・杉山吉良(1910–1988)が撮影した、実業家で茶人としての顔も持つ松永安左ヱ門(1875–1971)の晩年の姿を捉えた作品73点を展示。「電力の鬼」「電力王」と呼ばれた松永は、還暦を迎える頃に「耳庵」と号し、茶人・美術品収集家としても知られた人物である。杉山は、政財界の要人や文化人の肖像を数多く残した写真家で、とりわけ人物の内面や時代の空気を写し撮る肖像作品に定評がある。
本展では、小田原の邸宅でくつろぐ姿や、茶を点てる静かな時間、海で泳ぐ姿など、撮影者と被写体の深い信頼関係から生まれた、松永安左ヱ門の人間味あふれる表情を紹介。生誕150年という節目に開催される本展は、一人の“巨人”の素顔を写真で再発見する機会となる。

展示点数

73点

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。

 

掲載日:2026年1月15日(木)