写真展

本橋成一・広川泰士 作品展「原点―若き写真家がとらえた筑豊」

開催期間:2026年4月28日(火)2026年5月31日(日)
本橋成一《福岡 筑豊》〈炭鉱〉より 1965年
本橋成一《静夫の家 福岡 鞍手町》〈炭鉱〉より 1965年
広川泰士 1971年
広川泰士 1971年

 JCIIフォトサロンでは、来る2026年4月28日(火)から5月31日(日)まで、本橋成一・広川泰士作品展「原点―若き写真家がとらえた筑豊」を開催いたします。

 本展では、1960年代から70年代にかけて両者が筑豊で撮影したモノクロ作品(78点)を展示します。
1960年代後半から70年代初頭、駆け出しの二人は単身で筑豊の炭鉱地帯へ向かいました。本橋成一と広川泰士——当時、面識もなく、お互いの存在も知らなかった二人は、時期は前後するものの、同じ場所で人々と向き合い、それぞれのまなざしで記録しました。のちに異なる分野で写真家として活躍することとなる二人の出発点となった作品群が、半世紀を経て一堂に会します。

本橋成一 —— 上野英信(うえのえいしん)との出会い、そして『炭鉱〈ヤマ〉』へ
 1965年、本橋成一は写真学校の卒業制作のために筑豊を訪れました。当時ベストセラーだった記録文学者・上野英信※の著書『追われゆく坑夫たち』(岩波新書、1960年)を手に、面識のなかった上野を直接訪ねて行ったそうです。卒業後も本橋は撮影を続け、北海道まで足を伸ばしながら炭鉱の記録を積み重ねました。1968年、その記録群が「炭鉱〈ヤマ〉」として結実し、第5回太陽賞を受賞します。上野との出会いは、本橋が写真家として「どこの目線で撮るのか」「どう向き合うのか」を問い続けることの原点となりました。以後、約50年にわたり、映画と写真で激動の社会と市井の人々を記録し続けました。

※上野 英信(1923~1987)
記録文学者。山口県生まれ。京都帝国大学(現・京都大学)を中退後、筑豊に入り抗夫として働く。筑豊炭鉱の記録を綴り続け、後に筑豊に関心を持つ研究者や学生の拠点となる筑豊文庫を設立する。『写真万葉録・筑豊』(全十巻)で日本写真協会賞受賞。著書に『追われゆく抗夫たち』、『地の底の笑い話』などがある。


広川泰士 —— 見知らぬ土地で、自分を試す
 1971年、広川泰士は炭坑夫・山本作兵衛の炭坑記録画(2011年、日本初のユネスコ世界記憶遺産に登録)を知り、「作兵衛翁に会ってみたい」という思いと、「まったく知らない土地で写真を撮ってみたい」という衝動から、筑豊へ向かいました。現地では病院、床屋、公衆浴場にまで入り込み、毎日歩き回っては撮り続けました。そして上野英信と出会ったことで、山本作兵衛の家にも何度も泊めてもらうなど、約2ヶ月にわたって筑豊の人々と深く交わりました。博多で開催された「山本作兵衛模写展」で写真作品を発表したことが、広川にとって初めての展示経験となり、写真を仕事にしようと決意する契機となりました。以後、独学でキャリアを築き、ファッション、広告、CM、映画撮影など幅広い分野で活躍を続けています。

二人を結ぶ、筑豊という舞台 
 二人はともに、上野英信という人物と深く関わりながら筑豊を記録しました。当時は互いの存在を知らなかった二人が、同じ人物に導かれ、同じ地を記録していたという事実に、広川は「不思議な縁」を感じ、「あの時出会ったすべての人たちに、とても貴重なことを教えていただき、今の私の大切な柱になっています」と語ります。
 展示作品は、若き日の二人が筑豊で撮影した当時のオリジナルプリントです。人々と向き合うなかで培われたそれぞれの視線は、その後の歩みへと確かに受け継がれていきました。現在へと続く二つの軌跡のはじまりをご覧いただければ幸いです。

★展示期間中、広川泰士さんによるトークイベントを開催予定。最新情報はJCIIフォトサロンホームページまたは、公式SNSをご覧ください。

本橋 成一 もとはし・せいいち 写真家・映画監督(1940-2025)
東京都生まれ。1960年代から撮影を開始。東京綜合写真専門学校在籍中、筑豊や北海道の炭鉱街を訪れ、その地に滞在しながら炭鉱夫の生活を記録。作家の上野英信や画家の山本作兵衛と出会った。68年に発表した「炭鉱〈ヤマ〉」で第5回太陽賞受賞。以降、上野駅やテントサーカス、築地市場、屠畜場など市井の人々の暮らしを捉えた作品を発表する傍ら、職業カメラマンとして世界各地へ赴く。91年からチェルノブイリ原発事故で汚染された村への訪問を続け、95年には写真集「無限抱擁」で日本写真協会賞年度賞、98年には「ナージャの村」で第17回土門拳賞を受賞し、同名のドキュメンタリー映画を初監督する。02年には映画『アレクセイと泉』で第52回ベルリン国際映画祭の特別賞を受賞。監督作品は他に『ナミイと唄えば』(2006)、『バオバブの記憶』(2009)、『アラヤシキの住人たち』(2015)。最後のプロデュース作品として『聴く隣人のいるところ』(早川嗣監督/2026年6月公開予定)がある。近年の主な展覧会は「ナジェージダ〈希望〉」(東京都写真美術館/2002)、「本橋成一 在り処」(IZU PHOTO MUSEUM/2016)、「本橋成一とロベールドアノー」(東京都写真美術館/2023)。

広川 泰士 ひろかわ・たいし 写真家(1950-)
神奈川県生まれ。ザルツブルグ、パリ、ミラノ、アムステルダム、ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス、ヒューストン、シドニー、ソウル、台北、東京他、世界各都市での個展、美術展への招待出展多数。講談社出版文化賞、ニューヨークADC賞、文部科学大臣賞、経済産業大臣賞、日本写真協会賞、東川町国内作家賞、日本映画テレビ技術協会撮影技術賞、A.C.C.ゴールド賞、A.C.C.ベスト撮影賞、他受賞。
作品集に「sonomama sonomama」「SOUNDS FROM THE PLANET」「STILL CRAZY」「TIMESCAPES -無限旋律-」「Whimsical Forces -時のかたち-」「BABEL」「Fuji Sun」「2023-11あれから」他があり、プリンストン大学美術館、ロサンゼルスカウンティ美術館、サンフランシスコ近代美術館、フランス国立図書館、ミュンヘンレンバッハハウス美術館、神戸ファッション美術館、東京都写真美術館、東京国立近代美術館、他に作品がコレクションされている。http://hirokawa810.com/


タイトル

本橋成一・広川泰士作品展「原点―若き写真家がとらえた筑豊」

協  力

ポレポレタイムス社、広川事務所

開催期間

2026年4月28日(火)~5月31日(日)

展示内容

本橋成一と広川泰士が1960年代後半から70年代初頭に筑豊の炭鉱地帯で撮影したモノクロ作品78点を展示。当時面識のなかった若き二人がそれぞれ単身で現地に入り、人々と向き合いながら記録した視線は、のちに異なる分野で活躍する写真家としての出発点となったものである。人々と向き合うなかで培われた視線はその後の歩みへと確かに連なっていくものであり、当時のオリジナルプリントを通して現在へと続く二つの軌跡のはじまりをご覧いただく。

展示点数

78点(本橋成一作品/30点、広川泰士作品/48点)

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。

 

掲載日:2026年3月9日(月)