写真展

「ステレオ写真に浮かび上がる幕末・明治の日本 Part1 Rossier(ロシエ)& Burger(ブルガー)& Metcalf(メトカーフ)」

開催期間:2023年2月7日(火)2023年3月5日(日)
江戸 日本の役人たちと江戸の英国領事館付武官ガウワー
発行:ネグレッティ&ザンブラ社(ロンドン)
撮影:ピエール・ロシエ 1859年 鶏卵紙
台紙:85×174mm 写真左:79×75mm 写真右:79×75mm

 
 JCIIフォトサロンでは、古写真シリーズの43回目として、来る2023年2月7日(火)から3月5日(日)まで、「ステレオ写真に浮かび上がる幕末・明治の日本 Part1 Rossier(ロシエ) & Burger(ブルガー) & Metcalf(メトカーフ)」を開催いたします。

 人間の右目と左目は少し離れて顔についているため、私たちがものを見ている時、右目と左目では同じものが微妙に違って見えており、この左右の違いを「両眼視差」と呼びます。この左右の違いから脳が奥行きを認識し、立体的な像として私たちはものを見ることができています。ステレオ写真とは、この「両眼視差」を利用したものです。人間の目と同じように左右に少し離れた位置から写した2枚の写真を左右の目で別々に見ることによって、写真の中に立体感と奥行きが生じます。ステレオ写真を立体視するには、右目は向かって右側の写真、左目は左側の写真、もしくは、右目は左側の写真、左目は右側の写真と、左右の目で別々に見ます。一度、片目ずつ閉じて確認してから両目で見ると、2枚の写真が1枚の奥行きのある立体画像として浮かび上がってきます。当時はステレオスコープと呼ばれる2枚のレンズを使ったビュアーも販売されていました。今回の展示では、簡易なビュアーを受付にてお貸しする予定ですので、幕末・明治の日本を立体画像でお楽しみ頂けます。

 ヨーロッパでは1830年代にイギリスで発表された科学論文をきっかけに、ステレオグラム(ステレオ画像)の立体視に関する研究が盛んになり、1839年に写真技法のダゲレオタイプ(銀板写真)が発表されると、写真への応用も研究され始め、8年後の1847年には二つのレンズを装着させたステレオカメラが発明されました。その4年後、ロンドンのクリスタル・パレスで開催された万国博覧会で初めてステレオ写真が展示され、ヴィクトリア女王が賛辞を寄せると、その人気が高まりました。写真技法のウエット・コロジオン(湿板写真)が普及し写真を鶏卵紙にプリントする事が可能になると、厚紙に写真を貼りつけたステレオカードが量産され、商品化が進みました。その題材は、物語や生活の一場面、鉄道や橋の建設の様子、各国の風景や人々などで、視覚で楽しめる娯楽や教育としても活用され、1850年代から1900年代にかけて欧米を中心に大流行しました。

 当館では、幕末期から明治前期に日本を撮影したステレオ写真を200枚以上収蔵しており、その撮影者の多くは欧米の写真家たちです。長い間鎖国を行っていた日本は、彼らにとって興味深い国のひとつだったようです。その中から今回は、スイス人のピエール・ロシエ(Pierre Joseph Rossier 1829-1886)とオーストリア人のヴィルヘルム・ブルガー(Wilhelm Joseph Burger 1844-1920)、そしてアメリカ人のウィリアム・メトカーフ(William Henry Metcalf 1821-1892)の作品をご紹介いたします。

 ロシエは、日本が各国と修好通商条約を締結した後の1859年(安政6年)に来日し、自由貿易が始まり居留地の開発が始まったばかりの長崎や横浜、イギリス領事館やアメリカ公使館が置かれた江戸の様子などを撮影しました。ブルガーは、ロシエよりも10年後の1869年(明治2年)に来日し、当時は既に日本にも写真館があった為、長崎では上野彦馬、横浜では下岡蓮杖を訪ね、それぞれの写真館を借り日本の人々を撮影しました。そしてメトカーフは、ブルガーよりも8年後の1877年(明治10年)に来日し、横浜や神奈川近郊を訪れ、1872年(明治5年)までは女人禁制で外国人の立ち入りも禁じられていた日光へも足を運んでいます。3人が来日した際の時代背景が見え隠れするステレオ写真は、江戸から明治へと時代が移り変わる日本の様子を立体画像で伝えてくれます。

 

★この展示に合わせて、2023年2月11日(土・祝)に古写真収集家の石黒敬章氏をお招きし、日本カメラ博物館の古写真研究員・井桜直美とのトークショーを開催いたします。ぜひご参加下さい。(終了いたしました) 


タイトル

「ステレオ写真に浮かび上がる幕末・明治の日本 Part1 Rossier(ロシエ)& Burger(ブルガー) & Metcalf(メトカーフ)」

開催期間

2023年2月7日(火)~3月5日(日)

展示内容

人間の右目と左目は少し離れて顔についているため、私たちがものを見ている時、右目と左目では同じものが微妙に違って見えており、この左右の違いを「両眼視差」と呼ぶ。この左右の違いから脳が奥行きを認識し、立体的な像として私たちはものを見ることができている。ステレオ写真とは、この「両眼視差」を利用し、人間の目と同じように左右に少し離れた位置から写した2枚の写真を左右の目で別々に見ることによって、立体感と奥行きがあるように見える写真のこと。1847年に二つのレンズを装着させたステレオカメラが発明され、1851年にロンドンのクリスタル・パレスで開催された万国博覧会で、初めてステレオ写真が展示され話題となった。その後の湿板写真の普及でステレオ写真の量産が可能となり、1850年代から1900年代にかけて欧米を中心に大流行した。当館では、幕末期から明治前期に日本を撮影したステレオ写真を200枚以上収蔵しており、その中から今回は、スイス人のピエール・ロシエ(Pierre Joseph Rossier:1859年来日)とオーストリア人のヴィルヘルム・ブルガー(Wilhelm Joseph Burger:1869年来日)、そしてアメリカ人のウィリアム・メトカーフ(William Henry Metcalf:1877年来日)撮影の作品を紹介する。

展示点数

約60点

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

入館料

無料

日本カメラ博物館YouTube公式チャンネル

明治初年から明治18年以前に東京の名所を撮影した写真がまとめられている、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖をベースに、古地図や幕末・明治の写真おり交ぜながら井桜直美古写真研究員が現在の様子と比べて紹介するシリーズ「東京百景」は、日本カメラ博物館YouTube公式チャンネルでご覧になれます。

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。