JTB旧蔵ストックフォトから見る日本 「示威と宣揚 戦中の国策写真 2」

ラヂオ体操 仰ぐ日の丸.富士の山.大自然の中に躍動する小国民の健康なリズム.鍛えよ体.高めよ心.すくすくと伸び育ちゆく.おお.日本の若さよ.力よ.その飛躍よ!
掲載:『写真週報』1938年2月16日号(創刊号)/『Berliner Illustrirte Zeitung』1938年9月15日号/『2600』1941年2月/『報道写真』1941年3月号

3種類のネガフィルムを持つ写真協会職員
右から35ミリフィルム(ライカやコンタックス等の小型カメラ用)、極小型カメラ[通称豆カメラ]用フィルム (ミゼット等用)、4×5インチシートフィルム(スピードグラフィックやグラフレックス等の大判カメラ用。被写体は1940年の東宝映画〈蛇姫様〉に出演する原節子でJTB旧蔵ストックフォトに現存)。豆カメラの性能を示す意図で撮影されたか。
JCIIフォトサロンでは、来る2026年6月30日(火)~8月2日(日)まで、「JTB旧蔵ストックフォトから見る日本『示威と宣揚 戦中の国策写真 2』」を開催いたします。
弊館所蔵のJTB旧蔵ストックフォト原板*の中から見出された戦中の国策写真を、鮮明なニュープリント(60点、すべてモノクロ)でご覧いただきます。今回展示する写真には、富士山の前でラジオ体操に励む子どもたち(1938年)、輸出煙草の製造(1939年)、国民学校でグライダーや自動車の構造を学ぶ子どもたち(1941年)、日米開戦を受けて開催された「大詔奉載国民大会」の様子(1941年)など戦時下の社会諸相や、陸軍報道部に所属していた小説家・火野葦平、彩管報国を実践して軍用機「大観号」の製造費を寄付した日本画家・横山大観ら文化人の姿も写されています。
これらは、日中戦争勃発を受けて1938年に対内外写真宣伝の官庁代行機関として設立された「写真協会」が構築したストックフォトの一部です。ご覧いただく写真群は、国内大衆向けグラフ誌『写真週報』(内閣情報部、1938年創刊)、戦時写真家への啓発誌『報道写真』(写真協会出版部、1941年創刊)、1940年代刊行の外国向け宣伝グラフ誌、そして、海外配信によって外国誌などに掲載されていることが調査により判明しました。戦時下における国民の意識誘導が明らかな掲載キャプションは、何気ないスナップショットと思われる一葉も周到な準備の上に撮影されたことを物語っています。内外発信を目的に撮影された写真は国策の視覚化であり、戦時を考える貴重な史料といえましょう。
*本展は、弊館に寄贈されたJTBモノクロネガ原板に残されていた「写真協会」分の調査研究により構成。1938年の設立以降に蓄積された写真協会のストックフォト原板は、1945年の敗戦後に日本交通公社(JTB)が継承。JTBは、戦前に外客誘致宣伝を担っていた国際観光協会(1931年設立)のストックフォト原板も受け継いでいる。その後、1977年に写真協会分のストックフォト原板の大半は国立公文書館へ移管され(2014年より日本写真保存センター蔵)、2018年にはその他のネガ原板全てを弊館へ寄贈。本展は、弊館に収蔵後、調査研究に基づき開催した「国際観光写真にみる1930年代」展(2021年)、「JTB旧蔵ストックフォトから見る日本『示威と宣揚 戦中の国策写真 1』」展(2025年)に続く3回目で、この原板の整理と調査研究は継続中。
キュレーション:白山 眞理(しらやま まり)
写真史研究、写真評論。学術博士。前・日本カメラ財団調査研究部長。主なキュレーションは「名取洋之助と日本工房作品展」(JCIIフォトサロン、2003年)、「戦争と平和」(IZU PHOTO MUSEUM、2015 年)、「名取洋之助と土門拳」(土門拳記念館、2023年)など。主な著書は、『名取洋之助と日本工房 1931-45』(共編、岩波書店、2006年)、『〈報道写真〉と戦争』(吉川弘文館、2014年)、『京都大学人文科学研究所所蔵 華北交通写真資料集成』(共編、国書刊行会、2016年)など。主な受賞は、日本写真芸術学会学術賞(2003年)、日本写真学会学術賞(2014年)、日本写真協会賞学芸賞(2015年)など。
タイトル
JTB旧蔵ストックフォトから見る日本「示威と宣揚 戦中の国策写真 2」
開催期間
2026年6月30日(火)~8月2日(日)
展示内容
写真宣伝の官庁代行機関として設立された「写真協会」が構築したストックフォト原板(JCII蔵)より、富士山の前でラジオ体操に励む子どもたち(1938年)、日米開戦を受けて開催された「大詔奉載国民大会」の様子(1941年)などを、鮮明なニュープリントでご覧いただく。これらは、国内大衆向けグラフ誌『写真週報』(内閣情報部、1938年創刊)、1940年代刊行の外国向け宣伝グラフ誌や外国誌などに掲載された。内外発信のために示威と宣揚を目的に撮影された国策の視覚化であり、戦時を考える貴重な写真史料である。
展示点数
60点 ※すべてモノクロ
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日(7/20は開館)
入館料
無料
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、
東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。
掲載日:2026年5月13日(水)







