日本カメラ博物館について

■ 写真・映像文化を支える博物館として

 1954(昭和29)年に発足したJCII(※)は、輸出検査法などに基づく日本製カメラ・光学機器の検査・研究機関でした。戦後の輸出振興策の中で、日本製輸出カメラを一定水準以上の品質に保つために製品検査を行い、日本工業規格(JIS)の原案作成や専門委員として、また、写真に関する国際標準化機構(ISO)専門委員会国内連絡協議会幹事としての仕事を重ねていました。 

一方、創立10周年記念事業の一環としてカメラを中心とする光学機器輸出産業の歩みを綴った『世界の日本カメラ』を出版(1975年、1984年に改訂増補版刊行)し、1969(昭和44)年の創立15周年記念事業では「日本の歴史的カメラの選定及び収集」にとりかかるなど、日本製カメラ発展の歴史を顕彰する事業も行ってきました。
JCIIの「歴史的カメラ」コレクションは、『日本カメラの歴史』(毎日新聞社、1975年。1986年に続編刊行)にまとめられ、「日本のカメラ発達展」として1984(昭和59)年のニューヨーク州ロチェスターを皮切りにアメリカ5都市で巡回展示しました。同展は、1986(昭和61)年に東京上野の国立科学博物館でも開催し、その際、図録として『日本の歴史的カメラ』(2004年に増補改訂版刊行)を出版しています。

 日本製カメラは、技術革新と品質向上で、次第に、世界市場に不動の地位を得るようになりました。また貿易の自由化が求められたこともあって、1980年代の後半には、輸出検査法による輸出検査の対象からカメラが外されることが予定されました。

 1989(平成元)年、JCIIは、業務の重点をカメラ研究や理解の手助けとなる文化事業活動に転換し、産業と文化を顕彰して次代に継承する「日本カメラ博物館」を設立しました。

 1991(平成3)年には、写真作品を展示する「JCII フォトサロン」及びカメラと写真の専門図書館「JCII ライブラリー」をオープンさせ、写真教室・講演会・ワークショップなども開催して、カメラ愛好家、アマチュア写真家、青少年への働きかけに務めてきました。

 これら全ての活動が評価されて、日本カメラ博物館は2000(平成12)年に東京都教育委員会の登録博物館に認定され、2001(平成13)年には「私立博物館における青少年に対する学習機会の充実に関する望ましい基準認定博物館」に認定されました。

 日本カメラ博物館は、多数の関係機関並びに関係者の方々にご賛同、ご協力いただき、カメラや写真の企画展を定期的に開催し、古今内外のさまざまなカメラや写真の世界をご紹介しています。また、調査研究にいそしむ方には豊富な資料を利用していただき、カメラや写真を楽しむ方のためには暗室や個展会場などをご用意しています。カメラ・写真を楽しく学び親しむ場として、今後も多くの方にご来館いただけることを願っています。 

※ 財団法人日本写真機検査協会(Japan Camera Inspection Institute)、 1973(昭和48)年より、財団法人日本写真機光学機器検査協会(Japan Camera and Optical Instruments Inspection and Testing Institute)、 1999(平成11)年より、財団法人日本カメラ財団(Japan Camera Industry Institute)、 2012(平成24)年4月1日より、一般財団法人日本カメラ財団(Japan Camera Industry Institute)