写真展

岩田幸助 作品展「秋田 昭和三十年(一九五五)前後」

開催期間:2008年3月4日(火)2008年3月30日(日)
(c)岩田幸助

 JCIIフォトサロンでは、来る3月4日(火)から3月30日(日)まで、岩田幸助作品展「秋田 昭和三十年(一九五五)前後」を開催いたします。

 岩田さんは、秋田を代表するアマチュア写真家で、17歳の頃から兄の写真館を手伝う傍らこつこつと写真を撮り、96歳になるまで秋田市内で精力的に活動を続けてきました。日本近代写真の父・木村伊兵衛と出会ったのは1952年のこと。木村がその代表作『秋田』の撮影のために初めて秋田を訪れ、以来20年間、岩田さんは「秋田」の撮影の多くに同行し、木村と同じ被写体や情景も数多く撮影して歩きました。私淑した師匠への遠慮から、これまで一連の作品の公表を控えてきましたが、96歳の誕生日を迎えた昨年、周囲の後押しを受けて初の写真集を発表しました。本展ではその写真集『秋田 昭和三十年(一九五五)前後』(英伸三編/無明舎出版)の中から、約80点(全てモノクロ)の作品を紹介します。

 「木村さんとの出会いで、岩田さんは身近な農村が写真になることを再発見した。厳しい風土での生活や行事が、地元の人間でなくてはとらえられない力感で記録されている。」と英伸三氏が評する氏の作品は、木村の代表作のもうひとつの側面、秋田に住む木村の弟子の作品、としての面白味だけでなく、”秋田人”岩田幸助の独自の郷土ルポルタージュ、生活に密着した雪国の貴重な記録としても、見るものを飽きさせない魅力に富んでいます。

 初めての個展開催を心待ちにしていらした岩田さんでしたが、残念ながら去る2007年12月、秋田の地でご逝去されました。JCIIフォトサロン一同、心より岩田さんのご冥福をお祈りし、当展覧会をもって追悼の意を表したいと思います。

 

岩田 幸助 (いわた こうすけ)
1911年山形県生まれ。山形市内の小沢写真館に5年間勤務の後、兄の営む岩田写真館(秋田県)を手伝う。満州事変勃発に伴い、1932年に陸軍第17師団の写真班員として従軍。1952年、木村伊兵衛が来秋。以来、木村に私淑し、氏の「秋田」取材に協力する。1953年、『写真サロン』月例写真コンテストで全国年間1位、『カメラ』月例写真コンテストで同3位に、1954年、『アサヒカメラ』月例写真コンテスト優秀作家賞受賞、『フォトアート』月例写真コンテストで全国年間1位になる。1955年、「山の分教場」が第22回日本写真美術展で文部大臣賞を受賞、岩波写真文庫『男鹿半島』の撮影に参加。1958年、岩波写真文庫『秋田県―新風土記―』の撮影に参加。1960年、写真機材販売と現像所のミドリ光学を設立。1994年、秋田市立千秋美術館の『木村伊兵衛と秋田』展に出品。2005年、朝日新聞に「あのとき「岩田幸助の写真から」」を連載。2006年、『昭和の農村社会』(平凡社)に作品掲載。2007年12月逝去、享年96歳。

 

タイトル

岩田幸助作品展「秋田 昭和三十年(一九五五)前後」

開催期間

2008年3月4日(火)~3月30日(日)

展示内容

日本近代写真の父・木村伊兵衛の代表作『秋田』の撮影で案内役を務めた秋田市のアマチュア写真家岩田幸助が昨年、初の写真集『秋田 昭和三十年(一九五五)前後』(英伸三編/無明舎出版)を発表した。秋田に暮らして撮影を続けた岩田氏の作品には、木村の『秋田』と同じ人物や風景が写るものが多く、師匠への遠慮からこれまでは公表を控えてきたという。しかし数年前、周囲から「貴重な写真を形にしたい」との声が上がり、英伸三氏を編集に迎えて写真集発表の話がまとまった。「木村さんとの出会いで、岩田さんは身近な農村が写真になることを再発見した。厳しい風土での生活や行事が、地元の人間でなくてはとらえられない力感で記録されている」と、英氏が評する氏の『秋田 昭和三十年(一九五五)前後』には、木村と同じ被写体を捉えたカットや、木村の技法・視線を踏襲した作品も多いが、逞しくも微笑ましい雪国生活のルポルタージュが岩田氏ならではの眼差しで情感豊かにまとめられており、見る者を飽きさせない。
本展では、昨年12月に惜しまれつつ逝去された岩田さん(享年96歳)を偲び、同写真集から80点(すべてモノクロ)を選んで国内初の展覧会として紹介する。

展示点数

約80点(全作品モノクロ)

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。