写真展

大石芳野作品展「隠岐の国」

開催期間:2011年3月29日(火)2011年4月24日(日)
(c)大石 芳野

 JCIIフォトサロンでは、来る2011年3月29日(火)~4月24日(日)まで、大石芳野作品展「隠岐の国」を開催いたします。

 大石氏は、日本大学芸術学部写真学科卒業後、フリーランスのドキュメンタリー写真家として、ベトナムやカンボジア、コソボ、沖縄など様々な国と地域をテーマに戦争の傷痕や生活の惨状を取材し、世界に伝え続けています。そのようなフォトジャーナリストとしての活動が認められ2001年には『ベトナム 凜と』にて土門拳賞を受賞しました。

 今回は、写真集『隠岐の国』から、隠岐に暮らす人々のありのままの生活を捉えた作品群をご覧いただきます。

 隠岐の国とは、隠岐諸島を総称して指す言葉で、島民が住む4つの島と約180の小島から成り立ち、島前・島後に区分され、隠岐諸島に住む人々は、自分達の故郷を「隠岐の国」と呼びます。古代から朝鮮半島との交流が深く、後鳥羽上皇や後醍醐天皇の流刑地としても有名で、しきたりや年中行事が多く、以前は祭りが島に暮らす人々の大きな楽しみでありました。

 大石氏は、1975年に初めて隠岐の島を訪れた際に出会った知夫里島の老夫婦に魅せられ、この島に通うようになります。遠い土地から来た全く知らない他人であるにもかかわらず温かいもてなしを受け、人々のおおらかさをみたといいます。人々との出会いを心から楽しみ、共感し、その人に近づこうとする大石氏の姿勢も、島民との交流を深めさせたのでしょう。

 隠岐民謡の歌舞と祭り、闘牛大会と闘牛の飼育、島の風習や冠婚葬祭など、根強く残るこの島独特の文化が写し込まれ、現在まで脈々と続く時間の積み重ねが、日々の暮らしの中に存在していることが伺えます。大石氏が撮った作品には、隠岐の国の人々の日常生活の中に、写真に写しとめることで発見できる現実が映し出されています。見る者それぞれが自分の中で咀嚼して、写るものの意味を読み取ることを要求される写真なのでしょう。

 隠岐の国のような豊かな文化・自然が蔑ろにされつつある今、日本の各地に根付いた文化を残していく意義を見つめ直す時がきているのではないでしょうか。


大石 芳野
  OISHI YOSHINO
東京都出身。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、ドキュメンタリー写真に携わり今日に至る。戦争や内乱、急速な社会の変容によって傷つけられ苦悩しながらも逞しく生きる人々の姿をカメラとペンで追っている。
2001年土門拳賞、2007年エイボン女性大賞、同年紫綬褒章 ほか多数受賞。
日本写真家協会会員、日本文化人類学会会員、日本ペンクラブ会員 ほか。
主な著作:『無告の民 カンボジアの証言』(岩波出版、1981年。1982年日本写真協会年度賞)、『隠岐の国』(くもん出版、1984年)、『沖縄に活きる』(用美社、1986年)、『夜と霧は今』(用美社、1988年。1989年日本写真協会年度賞)、『カンボジア苦界転生』(講談社、1993年。1994年芸術進奨文部大臣新人賞)、『HIROSIMA 半世紀の肖像』(角川書店、1995年)、『ベトナム 凜と』(講談社、2000年。2001年土門拳賞)、『コソボ破壊の果てに』(講談社、2002年)、『アフガニスタン 戦禍を生き抜く』(藤原書店、2003年)、『<不発弾>と生きる 祈りを織るラオス』(藤原書店、2008年)、近著に『それでも笑みを』(清流出版社、2011年) ほか多数。

 

タイトル

大石芳野作品展「隠岐の国」

開催期間

2011年3月29日(火)~4月24日(日)

展示内容

現在まで脈々と続く時間の積み重ねが、日常の暮らしの中に存在していることが伺える、隠岐に暮らす人々のありのままの生活を捉えた作品をご覧いただく。
隠岐の国のような豊かな文化・自然が蔑ろにされつつある今、日本の各地に伝わる文化を残していく意義を見つめ直す時がきているのではないだろうか。
隠岐民謡の歌舞と祭り、闘牛大会と闘牛の飼育、島の風習や冠婚葬祭など、根強く残るこの島独特の文化の魅力が溢れた作品約70点(全作品モノクロ)を展示する。

展示点数

約70点(全作品モノクロ)

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル 交通機関
  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」 半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。