写真展

渡部雄吉作品展 「海への道」

開催期間:2011年11月1日(火)2011年11月27日(日)
(c)渡部 雄吉

 JCIIフォトサロンでは、来る2011年11月1日(火)~11月27日(日)まで、渡部雄吉作品展「海への道」を開催いたします。

 渡部氏は、1924年に山形県に生まれ、酒田中学で学ぶころの渡部氏は無線通信士のような技術者に憧れ、1941年の春、卒業と同時に上京しました。そして、1943年に東京光画社というカメラマンや記者をかかえる写真工房に勤めます。戦時中だったことからカメラマンが不足し、暗室マンとして入社した渡部氏も生活のためにカメラを手にするようになりました。戦後は、敗戦の混乱が続くなか写真家・田村茂の助手になります。その後フリーになると、『現代』、『文藝春秋』、『中央公論』などのグラビアページで活躍する一方、深川のだるま船の生活を題材にした「水上生活者」、警視庁捜査一課のベテラン刑事が殺人事件の犯人を追うのを、20日間密着取材した「張り込み日記」などの秀作で好評を得て、戦後40数年もの間フォトジャーナリズムの一翼を担い続けてきました。

 今回の作品展は、「海への道」と題して、厳しい自然の迫力を持つ北海道の知床岬に始まり、四国の佐田岬、千葉の犬吠埼、岩手・三陸海岸のとどヶ崎など、海が織り成す特有の風土や、現代人が失いつつある人間の「生きる」という根っこの部分を浮き彫りにさせる作品の数々です。

 荒々しく容赦なく叩きつける波や、漁の最盛期に明け方まで続く一本釣り、漁に備え黙々と働く人々など、天候や時期により、どの岬にもその土地なりの自然の厳しさが見られ、ささやかな暮らしながらも生命力に溢れた人々の生活ぶりをうかがい知ることができます。

 後に「海への道」について、自然と人生を、日本の岬という海と陸との接点で捉えようとした作品だと渡部氏は語っています。命の源である海が創りだす自然と向き合い、逞しく海に生きる人々の姿や、自然と共に生きる人々の根底に共通して流れる情緒や厳しさが、渡部氏を魅了したのでしょう。

 また、渡部雄吉コレクションと題しまして、「北海道の開拓移民」、「沖縄・与論島」、「刑事の張り込み」、「水上生活者」の作品も数点ずつ展示致します。個性を撮るのではなく、相手を正確に写しだすフォトジャーリズムとしての客観的な視点を強く持ちながらも、その土地に暮らす人々をやわらかく包み込む目線が感じられる作品の数々です。

 

渡部 雄吉 (わたべ ゆうきち)
1924年、山形県酒田市生まれ。中学卒業後、映写機の組立工場で働く。43年、東京光画社へ入社し写真部員となる。45年、1ヵ月半の軍隊生活の後終戦を迎え、47年、田村茂氏の助手となり『夫人画報』等に作品を発表。50年、フリーとなり、60年にはエジプト、アフリカへの撮影旅行を皮切りに、62年には『太陽』創刊号のために、アラスカ・エスキモーを取材する。以後、海外取材も数多くこなし、この分野では草分け的存在となる。
主な写真集に、『STAINED GLASS』、『アラスカ・エスキモー』、『神楽』、『イタリア古都紀行』等多数。主な受賞は、50年にウイーン世界平和写真展報道部門グランプリ、74年に『大いなるエジプト』で日本写真協会年度賞、92年の紫綬褒章など多数。93年、死去、享年69歳。

 

タイトル

渡部雄吉作品展「海への道」

開催期間

2011年11月1日(火)~11月27日(日)

展示内容

「海への道」と題して、厳しい自然の迫力を持つ北海道の知床岬に始まり、四国の佐田岬、千葉の犬吠埼、岩手・三陸海岸の魹(とど)ヶ崎など、海が織り成す特有の風土や、現代人が失いつつある人間の「生きる」という根っこの部分を浮き彫りにさせる作品の数々をご覧いただく。
荒々しく容赦なく叩きつける波や、漁の最盛期に明け方まで続く一本釣り、漁に備え黙々と働く人々など、命の源である海が創りだす自然と向き合い、逞しく海に生きる人々の姿や、自然と共に生きる人々の根底に共通して流れる情緒や厳しさを捉えている。
また、渡部雄吉コレクションと題して、「北海道の開拓移民」、「沖縄・与論島」、「刑事の張り込み」、「水上生活者」の作品も数点ずつ展示。フォトジャーリズムとしての客観的な視点を強く持ちながらも、その土地に暮らす人々をやわらかく包み込む目線が感じられる渡部氏の作品約80点(全作品モノクロ)を展示する。

展示点数

約80点(全作品モノクロ)

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 – 半蔵門 – 日比谷 – 銀座四 – 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 – 東京女子医大前 – 四谷駅前 – 半蔵門 – 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。