写真展

幕末・明治の古写真展「横山松三郎」~江戸城とウィーン万博を中心に~

開催期間:2017年8月1日(火)2017年9月3日(日)
「江戸城 半蔵門の高麗門と取り壊しが始まったばかりの渡櫓門
鶏卵紙 明治4年 53×86 mm

 JCIIフォトサロンでは、古写真シリーズの34回目として、来る2017年8月1日(火)から9月3日(日)まで、『幕末・明治の古写真展「横山松三郎」~江戸城とウィーン万博を中心に~』を開催いたします。

 日本の営業写真師の開祖の一人、下岡蓮杖の一番弟子であった横山松三郎は、天保9年(1838)に千島列島の択捉島で生まれました。その後箱館(※函館の当時の表記)に移り、安政元年(1854)にペリー提督率いる黒船が来航した時には、従軍写真家E.ブラウン.Jrが役人や箱館の風景を撮影している現場を目撃したそうです。

 横山は幼い頃から絵心があり、開港後の箱館で西洋画や写真を目の当たりにすると、その技法の習得を目指すようになりました。苦労して元治元年(1864)横浜で下岡蓮杖に弟子入りし、慶応4年(1868)に東京両国で写真館を開業後、すぐに上野不忍池に移り「通天楼」と名付けました。蓮杖から石版印刷も学んだ横山は、カーボン印画やゴム印画、写真と油絵を融合させた独自の技法である写真油絵など、新しい写真技法にも意欲的に取り組み、数々の実験的な表現に挑戦しました。明治6年(1873)には洋画塾を併設し、門弟の指導にも力を入れ、写真師の北庭筑波や中島待乳、木版・石版画家の亀井至一や下国羆之輔らを輩出しました。

また横山は、明治4年(1871)に江戸城の撮影を行いました。これは、慶応4年(1868)に明治新政府軍に明け渡され、皇居である西の丸以外は荒廃していく江戸城の姿を記録として残そうと、蜷川式胤(にながわのりたね)が太政官に撮影許可願いを出し実現したもので、その際内田九一も撮影に加わったとされています。さらに明治5年(1872)には、翌年ウィーンで開催が予定されていた万国博覧会への出品選定も兼ねて行われた「壬申検査」と呼ばれる近畿地方の社寺宝物調査でも、横山は写真撮影を請け負いました。これらの写真の中には現在、重要文化財に指定されているものがあります。

当時はまだ珍しかったステレオ写真の撮影や写真油絵の考案など、幕末から明治という日本の転換期に、西洋からの新しい技術や技法を研究し、果敢に新しい芸術表現を追求した横山。彼は、日本における写真と洋画の黎明期に、数々の秀作を世に遺しました。今回の展示では、もう今は見ることのできない荒廃した江戸城の姿と、ウィーン万国博覧会(明治6年開催)に出品された日本が誇る品々を中心に、当時は写真撮影の前例がなかった日光山、壬申検査、通天楼があった当時の不忍池など、114点をご覧いただきます。

横山 松三郎(よこやま まつさぶろう)

天保9年(1838)千島列島の択捉(えとろふ)島生まれ。嘉永5年(1852)箱館の呉服商堺屋八右衛門の店に丁稚奉公に入る 。
元治元年(1864)、横浜で下岡蓮杖の門弟となり、写真術と石版術を学ぶ。慶応4年(1868)東京両国に写真館を開業後、すぐに上野不忍池に移り「通天楼」と名付け、写真・洋画の製作と実験、門弟の指導にあたった。
明治2年から明治3年(1869-1870)に日光山を撮影し、その写真数百枚を徳川慶喜に献上。 明治4年(1871)には蜷川式胤の命で荒廃していく江戸城を撮影し、翌年の近畿地方の社寺宝物調査「壬申検査」にも随行し撮影を行った。
明治9年(1876)陸軍士官学校の教官となり、明治11年(1878)の気球浮揚実験の際、気球より空中撮影を試みた。
明治14年(1881)写真と油絵を融合させた独自の技法「写真油絵」を完成。
明治17年(1884)47歳で逝去。

★この展示に合わせて、古写真収集家の石黒敬章氏をお招きし、日本カメラ博物館研究員・井桜直美とのトークショー「“横山松三郎”を語る 」を2017年8月19日(土)に開催いたします!是非ご参加ください。 ←終了いたしました。


タイトル

幕末・明治の古写真展  「横山松三郎」
~江戸城とウィーン万博を中心に~

開催期間

2017年8月1日(火)~9月3日(日)

展示内容

下岡蓮杖の一番弟子で、明治元年(1868)上野不忍池に写真館「通天楼」を開き、写真・洋画の製作と実験、門弟の指導にあたった横山松三郎。当時はまだ珍しかったステレオ写真の撮影や写真油絵の考案など、幕末から明治という日本の転換期に、西洋からの新しい技術や技法を研究し、果敢に新しい芸術表現を追求した。今回の展示では、もう今は見ることのできない荒廃した江戸城の姿(明治4年撮影)と、ウィーン万国博覧会(明治6年開催)に出品された日本が誇る品々を中心に、当時は写真撮影の前例がなかった日光山、壬申検査、通天楼があった当時の不忍池など、横山松三郎撮影による古写真114点をご覧いただく。

展示点数

114点

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(ただし、祝日の場合は開館)

入館料

無料

日本カメラ博物館YouTube公式チャンネル

明治初年から明治18年以前に東京の名所を撮影した写真がまとめられている、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された2冊の写真帖をベースに、古地図や幕末・明治の写真おり交ぜながら井桜直美研究員が現在の様子と比べて紹介するシリーズ「東京百景」は、日本カメラ博物館YouTube公式チャンネルでご覧になれます。

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。