写真展

竹内敏信 作品展 「汚染海域ー伊勢湾・1972年」

開催期間:2020年8月4日(火)2020年8月30日(日)
赤潮のために死んだ貝が浜辺に打上げられ“死貝浜”になった(愛知県蒲郡市三谷海岸)
四日市ぜんそく訴訟で闘っている磯津漁民

 JCIIフォトサロンでは、来る2020年8月4日(火)から8月30日(日)まで、竹内敏信作品展「汚染海域ー伊勢湾・1972年」を開催します。

 風景写真家の第一人者である竹内敏信氏は、「日本人の原風景」をテーマに長きにわたって活躍していますが、その出発点はドキュメンタリー写真でした。大学卒業後には愛知県庁勤務の傍ら、環境問題をテーマに四日市(三重)の公害を追い、1972年の初個展で「汚染海域―伊勢湾からの報告―」として発表しています。本展では、この「汚染海域」シリーズより、64点(すべてモノクロ)を展示いたします。

 1960年代後半には高度経済成長がもたらした公害が社会問題として顕在化し、日本有数の工業地帯である伊勢湾も汚染に蝕まれていました。社会に訴える報道写真家を目指していた竹内氏は、約2年かけて四日市をはじめとする伊勢湾一帯を取材し、埋め立てられる塩田、海面を漂う大量の中和剤、海岸に打ち上げられたプラスティックごみや、生活を脅かされながらもひたむきに生きる漁師たちや住民の姿を切り取っています。公害を徹底的に追ったこのシリーズを撮影後、「壊されてしまってからでは遅い。貴重な自然が破壊された跡を告発できたとしても、本来の自然は元に戻れません。そこで、逆の視点で美しい日本を撮ろう。自然の魅力を訴えた方が、告発姿勢よりも意味がある」(『日本情景 1970~1990』JCIIフォトサロン、2000年)と、竹内氏は風景写真へと向かったのです。

 50年前に発表された作品の訴えは力強く、私たちの生活と環境について改めて考えさせられます。


竹内 敏信(たけうち としのぶ)
1943年愛知県額田郡(現・岡崎市)生まれ。名城大学理工学部卒業。愛知県庁勤務の傍ら『毎日グラフ』などに自主制作のルポルタージュを発表。1972年にフリーランスの写真家となり、1982年に東京へ拠点を移す。2010年日本写真芸術専門学校校長に就任。日本写真協会賞年度賞(2004年)、第6回飯田市藤本四八写真文化賞(2008年)などを受賞。
写真集は、『花祭』(誠文堂新光社、1983年)、『天地聲聞―日本人の原風景』(講談社、1985年)、『欧羅巴 EUROPE』(小学館、1989年)、『櫻』(出版芸術社、1992年)、『雪月花』(トーキョーセブン、1994年)、『櫻暦』(出版芸術社、1999年)、『富士山』(出版芸術社、2013年)など多数。
写真展は、「汚染海域―伊勢湾からの報告―」(銀座ニコンサロン、1972年)、「欧羅巴 EUROPE 1981-1990」(JCIIフォトサロン、1999年)、「花祭」(JCIIフォトサロン、2002年)、「日本の桜 NIPPON-NO SAKURA」(富士フォトサロン、2019年)、「悠久の列島―日本人の原風景―」(キヤノンギャラリーS、2013年)ほか多数。


※ギャラリーや写真集を紹介しているYouTube チャンネル「フォトグラファーTV」のサイト内で、9月にJCIIフォトサロンで作品展を開催予定で、竹内敏信氏の助手でもあった清水哲朗氏が、竹内敏信作品展を紹介しています。→こちらのページへ


★隣接する日本カメラ博物館では、6月30日(火)から10月4日(日)まで、特別展「竹内敏信コレクション展 ~時をこえたカメラと風景~」を開催。


タイトル

竹内敏信作品展 「汚染海域ー伊勢湾・1972年」

開催期間

2020年8月4日(火)~8月30日(日)

展示内容

公害に脅かされる四日市をはじめとする伊勢湾一帯を約2年間追った竹内敏信氏のシリーズ「汚染海域」より、64点(すべてモノクロ)を展示。
埋め立てられる塩田、海面を漂う大量の中和剤、海岸に打ち上げられたプラスティックごみなどの汚染状況や、ひたむきに生きる漁師や住民たちの姿が切り取られている。50年前に発表された力強い作品は、私たちの生活と環境について改めて考えさせる。

展示点数

64点(全作品モノクロ)

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。