写真展

― 戦場を駆けた写真家 一ノ瀬泰造 ― 「もうみんな家に帰ろー!」

開催期間:2025年10月28日(火)2025年11月30日(日)

 

国道4号線上 政府支持デモ
ベトナム 1972年11月7日
弾薬箱で遊ぶ子ども
カンボジア 1973年6月23日

 

 JCIIフォトサロンでは、来る2025年10月28日(火)~11月30日(日)まで、「―戦場を駆けた写真家 一ノ瀬泰造―『もうみんな家に帰ろー!』」を開催します。

 一ノ瀬泰造は、1972年1月、第三次印・パ戦争で独立したばかりのバングラデシュに単身で向かい、フォトジャーナリストとしての人生をスタートさせました。その後、カンボジア、ベトナムと激戦地を巡った一ノ瀬は、1973年11月、友人宛の手紙に「地雷を踏んだらサヨウナラ」と記して、アンコールワットへ単独潜入したまま消息を絶ちます。9年後の1982年、アンコールワット北東約10㎞にあるプラダックの草原に埋葬された一ノ瀬の遺骨が、息子の生存を信じ続けた両親の手によって確認されました。

 一ノ瀬が遺したネガフィルムは、これまで、家族らの手によって整理・発表されてきました。写真展や書籍で明かされる彼の生きざまは、現在も多くの人々に感銘を与えています。

 本展では、24歳から26歳までフリーランスの写真家として戦地を駆け抜けた一ノ瀬泰造が、バングラデシュ、カンボジア、ベトナムで撮影した戦場の写真や、戦時下を生きる人々の姿をとらえた作品76点(モノクロ64点、カラー12点)を展示します。

 世界的スクープを目指して数々の戦闘シーンを取材した一ノ瀬ですが、遺されたフィルムには、現地で出会った民衆の姿も数多く写されています。水牛と一緒に水浴びをする少年たちや弾薬箱に乗って遊ぶ男の子など、子どもを被写体とした写真も多く、生まれたときから戦争という日常しか知らない彼らの無邪気な笑顔が胸をつきます。下宿先で仲良くなった友人のロックルーや、戦災孤児のタン君など、一ノ瀬が親交を深めて写した作品もあり、彼ならではの人間味が溢れた写真ばかりです。

 本展タイトルの「もうみんな家に帰ろー!」は、一ノ瀬がカンボジアで戦闘取材中、戦況が硬直するなかで相手側の兵士たちに向かって叫んだ言葉で(1973年9月3日の取材原稿より)、緊迫する状況下でも人の心を和ませる言葉を発せられる一ノ瀬の人間性が表れています。本展を通して、一ノ瀬泰造が見つめた戦場と人間の姿に触れ、平和の意味を改めて考える機会となりましたら幸いです。

 なお、本展開催にあたり、一ノ瀬泰造の姪で著作権管理者である永渕教子様、公益社団法人日本写真協会様にご協力いただきました。

 隣接する日本カメラ博物館では、関連展示として特別展「沢田教一と一ノ瀬泰造」を開催します。一ノ瀬の被弾したカメラや配信に使用したタイプライターのほかに、写真作品として、学生時代にテーマとした大学闘争やデモ、自身も打ち込んだボクシングなど、戦場に至るまでの一ノ瀬の青春をたどるかのような作品群も展示します。

【関連展示】日本カメラ博物館特別展 「沢田教一と一ノ瀬泰造」2025年9月30日(火)~2026年2月1日(日)

一ノ瀬 泰造(いちのせ たいぞう)
1947年11月1日、佐賀県武雄市生まれ。1966年、日本大学芸術学部写真学科に入学。卒業後にUPI通信社東京支局に勤務するが翌年退職し、アルバイトなどでベトナム行きの資金を貯める。1972年1月、バングラデシュにてフリーランスのカメラマンとしての一歩を踏み出す。同年3月、共産軍側の根拠地となっていたアンコールワットへの一番乗りを目指し、カンボジアへ入国。同年8月、国外退去を命じられベトナムへ向かう。その際に取材した写真「安全へのダイブ」がUPI月間賞を受賞するなど各媒体に掲載。1973年、再びカンボジアに潜入し取材を続ける。同年11月、親友チェット・セン・クロイ(ロックルー)の結婚式に招待され、シェムリアップで「砲声下の結婚式」を撮影。友人宛の手紙に「地雷を踏んだらサヨウナラ」と記し、アンコールワットへ潜入。その後消息を絶つ。このとき満26歳。9年後の1982年、プラダックの草原に埋葬された一ノ瀬の遺骨が発見された。


タイトル

―戦場を駆けた写真家  一ノ瀬泰造― 「もうみんな家に帰ろー!」

協力

 永渕教子(一ノ瀬泰造アーカイブ)、公益社団法人 日本写真協会[敬称略]

開催期間

2025年10月28日(火)~11月30日(日)

展示内容

報道写真家として活躍した沢田教一がベトナム戦争で撮影した戦場の写真や、戦争に翻弄されながらも懸命に生きる民衆の姿をとらえたモノクロ作品を展示。第二次世界大戦終戦80年、ベトナム戦争終結から50年の節目となる本年、沢田のまなざしを深く探りながら、戦争がもたらすものについて今一度考える機会としたい。

展示点数

モノクロ76点(モノクロ64点、カラー12点)

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

開館時間

10:00~17:00

休館日

11月10日、17日

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。