写真展

吉田謙吉 写真展 「満洲風俗・1934年」

開催期間:2018年4月3日(火)2018年5月6日(日)
密着帖:新京 哈爾浜
沿線(スレ違ッタ新京行キ三等車ノ窓)

 JCIIフォトサロンでは、来る2018年4月3日(火)から5月6日(日)まで、吉田謙吉写真展「満洲風俗・1934年」を開催します。

  吉田謙吉(1897-1982)は、築地小劇場の頃から長きに亘って活躍した舞台装置家として、また、同時代の社会や風俗などを記録・分析する「考現学」を今和次郎とともに提唱した人物として知られています。今回は、彼が『経済知識』特派記者として1934年8月に満洲へ渡り、奉天、新京、哈爾浜、撫順で撮影した写真をご覧いただきます。

 吉田は、「風俗の問題は、余程客観的態度を持つてかからない限りうかうかと物珍らしさに掠はれてしまひ、その真を伝へられない結果に陥り易い」と、交通量を計るカウンターや小型カメラのライカを携えていました。「機関銃的な風俗採集の役割はライカ」と、旅の約1カ月間に384枚を撮影しています。
当時の満洲は王道楽土と謳われて、対内外宣伝のために大陸の異国情緒や日満融和をことさらに強調する写真がもてはやされていました。しかし、吉田の写真は演出のないスナップショットで、人力車、苦力、婦人の服装、在住ロシア人の生活などを淡々ととらえています。この旅のネガは残念なことに現存していませんが、整理された密着帖にはメモが記されていて、彼が何に着眼していたのかがうかがえます。

 本展では、考現学者の風俗採集記録としてこの密着帖を拡大カラーで、また、沿線情景などをモノクロでご覧いただきます。

※「考現学」は、関東大震災で崩壊した都市生活の記録に始まり、同時代の社会や風俗などあらゆる現象をありのままに記録・分析しようとするもの。「銀座カフェー女給の服装」「日本各地ゴミ箱採集」など様々な事象をテーマとし、今和次郎と吉田謙吉の共編で『考現学(モデルノロジー)』(春陽堂、1930年)、『考現学採集』(春陽堂、1931年)が出版された。考古学に対抗する現代研究として、民俗学や社会学に影響を与えた。

 

吉田謙吉 YOSHIDA Kenkich 1897-1982 (明治30)-(昭和57)

終生にわたって、舞台美術、考現学に携わり、装幀、旅館・喫茶店等の設計や内装を手がけ、日本大学、多摩美術大学、玉川大学の演劇科で教鞭をとり、「何でも屋」を自称した。

1897年2月10日、東京府日本橋浜町生まれ。
1915年 府立工芸学校金属科鋳金科を卒業し、海軍造兵廠鋳金工場に勤務。傍ら「葵橋洋画研究所」に学ぶ。
1917年 東京美術学校(現・東京芸術大学)図案科第一部に入学。今和次郎らに師事し、1922年卒業。
1923年 関東大震災後の焼け跡を今と歩いて風俗を記録し、「バラック装飾社」に参加。
1924年 「築地小劇場」創立にあたり美術部宣伝部員となる。以後、同劇場でポスターや舞台美術を手がけ、傍ら、新興絵画運動の「アクション」「三科」などを結成。
1927年 「しらべもの(考現学)展覧会」(於:新宿・紀伊國屋書店)を今らと開催。
1929年 「築地小劇場」が分裂し、「新築地劇団」同人となる。
1930年 『舞台装置者の手帖』(四六書院)、今との共著『考現学 モデルノロヂオ』(春陽堂)を上梓。
1931年 今との共著『考現学採集』(建築社)を上梓。
1934年 『經濟知識』特派員として満州風俗を取材。
1939年 海軍従軍舞台装置家として広東、海南島を巡り、翌年『南支風土記』(大東出版社)を上梓。
1944年 蒙古自治邦政府の要請で演劇指導のため内モンゴルに滞在。
1945年 慰問団長として再び内モンゴルに赴き、張家口で敗戦を迎え、天津収容所を経て1946年春に引揚げ。
1947年 「吉田謙吉演劇美術研究所」を設立。「日本舞台美術家協会」(1958年設立)で副会長、「日本舞台テレビ美術家協会」(1964年設立)で1968年に理事長となる。
1960年 現代マイムを日本へ移入すべく「日本マイム協会」を設立して会長を務める。
1982年5月1日逝去。享年85歳。

★講演会「多面体・吉田謙吉を語る」を4月7日(土)に開催いたします!(要予約)


タイトル

吉田謙吉 写真展 「満洲風俗・1934年」

開催期間

2018年4月3日(火)~5月6日(日)

展示内容

考現学を提唱した吉田謙吉が撮影した1934年満洲の風俗記録写真。奉天、新京、哈爾浜、撫順で撮影した人力車、苦力、婦人の服装、ロマノフカの生活など約50点を、メモなどが残る密着帖約100点(うち約50点はカラー版で拡大)とともに展示。

展示点数

約150点

図録販売

今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(ただし、祝日の場合は開館)

入館料

無料

所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル

交通機関

  • railway東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
  • railway東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
  • bus都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
  • bus都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
    半蔵門停留所下車 徒歩 4 分

  • 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
  • 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
  • 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
  • JR東京駅からは、railway東京メトロ丸の内線東京駅→大手町駅にて半蔵門線に乗り換えると便利です。