―報道写真家 沢田教一のまなざし― 「戦渦を生きる人々」


JCIIフォトサロンでは、来る2025年9月30日(火)~10月26日(日)まで、「―報道写真家 沢田教一のまなざし―『戦渦を生きる人々』」を開催いたします。
沢田教一は、ベトナム戦争が本格化した1965年から、カンボジア移動中に銃撃されて亡くなる1970年までの約5年間、UPI通信社の報道カメラマンとして、ベトナム戦争を最前線で取材した写真家です。沢田がとらえた「安全への逃避」(ピュリツァー賞受賞作品)をはじめとするベトナム戦争の写真群は、戦争の過酷な現実を世界中に伝えました。
日本カメラ博物館は2019年に、沢田が遺したネガフィルム約20,000カット、電送写真原稿を含むプリント約2,300枚のほか、カメラなどその他関連資料の寄贈を受けました。
本展では、これらの資料から、報道写真家として活躍した沢田教一がベトナム戦争で撮影した戦場の写真や、戦争に翻弄されながらも懸命に生きる民衆の姿をとらえたモノクロ作品70点(ニュー・プリント66点、電送写真原稿4点)を展示します。
ベトナム戦争のターニングポイントになった「テト攻勢」をはじめ、主にアメリカ軍に従軍して激戦地を駆け巡った沢田は、刻一刻と変化する戦場の緊迫した状況を多数撮影しています。また、戦争の実情を冷静に伝える一方で、米軍に連行される解放戦線の兵士や、海兵隊員の尋問に怯える子どもの姿など、沢田のまなざしは常に、戦争によって生活を脅かされているベトナムの人々に向けられ、被写体となった彼らから投げ返される強い視線は、現代を生きる私たちに戦争の愚かさを訴えかけてきます。
第二次世界大戦終戦から80年、ベトナム戦争終結から50年の節目となる本年、残念ながら、今もなお世界各地で戦争や紛争が絶えず続いています。プロカメラマンを志した時から「そこに生きる人々を、風土を撮りたいんだ」と事あるごとに言っていた沢田が、危険な戦場で命を懸けてまで撮りたかったもの、伝えたかったことはなんだったのか、沢田のまなざしを深く探りながら、戦争がもたらすものについて今一度考える機会となりましたら幸いです。
隣接する日本カメラ博物館では、関連展示として特別展「沢田教一と一ノ瀬泰造」を開催いたします。沢田が使用したカメラやヘルメットのほかに、ベトナム取材以前に撮影した故郷青森の風景や、三沢基地時代の貴重なプライベート写真、戦場以外で撮影されたベトナムやカンボジアの写真なども展示いたします。また、JCIIフォトサロンでは、次回展で「―戦場を駆けた写真家 一ノ瀬泰造―『もうみんな家に帰ろー!』」を開催予定です。
沢田 教一(さわだ きょういち)
1936年2月22日、青森県青森市生まれ。1954年3月、青森県立青森高等学校卒業。1955年、米軍三沢基地内の写真店で働きながら、本格的に写真を撮り始める。1956年、同じ写真店で働く田沢サタと結婚。1961年12月、UPI 東京支局写真部入社。1965年2月~3月、休暇を利用して自費でベトナム戦争取材。同年7月、UPI サイゴン支局写真部にカメラマンとして赴任。同年9月、代表作となる「安全への逃避」を撮影。この写真で同年12月、第9回世界報道写真コンテスト第1位を受賞。1966年、「安全への逃避」を含む一連のベトナム戦争の写真でピュリツァー賞を受賞。「泥まみれの死」「敵をつれて」が、第10回世界報道写真コンテストで第1位、第2位を受賞。ベトナム戦争の写真でU.S.カメラ賞を受賞。1968年2月、テト攻勢下のフエを撮影。同年9月、UPI香港支局写真部長として転勤。1970年、UPIサイゴン支局に再び赴任。同年10月28日、カンボジア・プノンペン近郊を移動中に銃殺され、34歳で死亡。1971年、前年5月に撮影したカンボジア難民の写真により、ロバート・キャパ賞を受賞。
タイトル
―報道写真家 沢田教一のまなざし―「戦渦を生きる人々」
協力
沢田サタ、斉藤光政(元・東奥日報社特別編集委員)[敬称略]
開催期間
2025年9月30日(火)~10月26日(日)
展示内容
報道写真家として活躍した沢田教一がベトナム戦争で撮影した戦場の写真や、戦争に翻弄されながらも懸命に生きる民衆の姿をとらえたモノクロ作品を展示。第二次世界大戦終戦80年、ベトナム戦争終結から50年の節目となる本年、沢田のまなざしを深く探りながら、戦争がもたらすものについて今一度考える機会としたい。
展示点数
モノクロ70点(ニュー・プリント66点、電送写真原稿4点)
図録販売
今回展示される作品を収めた図録を制作し、フォトサロン受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。
開館時間
10:00~17:00
休館日
毎週月曜日
入館料
無料
所在地:102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCIIビル
交通機関
東京メトロ◎半蔵門線半蔵門駅下車 4 番出入口より徒歩 1 分
東京メトロ◎有楽町線麹町駅下車 3 番出入口より 徒歩 8 分
都営バス「都03 (四谷駅 - 半蔵門 - 日比谷 - 銀座四 - 晴海埠頭)」
都営バス「宿75 (新宿駅西口 - 東京女子医大前 - 四谷駅前 - 半蔵門 - 三宅坂)」
半蔵門停留所下車 徒歩 4 分
- 駐車場はございませんので、お車でのご来館はご遠慮ください。
- 日本カメラ博物館とJCIIフォトサロンの入り口は異なりますのでご注意ください。
- 日本カメラ博物館へご来館の際は、お足もとが不自由な旨ご連絡いただければ、エレベーターにてご案内いたします。
- JR東京駅からは、
東京メトロ◎丸の内線東京駅→大手町駅にて◎半蔵門線に乗り換えると便利です。