特別展

「-秘密のベールに包まれてきたカメラたち- 知られざるロシアカメラ」

開催期間:2002年2月5日(火)2002年6月23日(日)
展示予定
後列右:「ルビテル」1949(昭和24)年
後列左:「スポルト」1936(昭和11)年
中列左:「ゼニット C」1955(昭和30)年
中列右:「キエフ 4」1957(昭和32)年
 前列:「ナルシス」1961(昭和36)年

 日本カメラ博物館(館長:森山 眞弓(財団法人日本カメラ財団理事長))では、平成14(2002)年2月5日(火)から6月23日(日)までの期間、特別展「- 秘密のベールに包まれてきたカメラたち – 知られざるロシアカメラ」を開催いたします。


 旧ソビエト連邦は、全体主義の社会構造が内包するさまざまな問題から「鉄のカーテン」(By ウィストン・チャーチル)で遮っていたため、日本など自由主義諸国においては旧ソ連製品を手にすることが難しい時代がありました。
 1992(平成4)年にソ連邦が崩壊すると、それまで入手が困難であった旧ソ連時代のカメラ、ロシア製カメラ、ウクライナ製カメラなどが、いろいろな人々の手によって西側社会に広く出回りはじめました。
 そして現在では、オーストリアの若者たちを中心として世界的な流行をみている「ロモ LC-A」のような例すらあります。

 今回の特別展では、西側の製品を模倣したカメラ、デザインそして構造において独自の進化を遂げてきた珍しいカメラ、スパイが使用するためにつくられたカメラなど、秘密のベールに包まれてきてふだんは眼にする機会が少ないロシア製カメラ(一部はウクライナ製、旧ソ連製)を紹介いたします。

 また、今回の特別展開催にあわせ、

2月17日(日)の14~16時に、島 和也(日本カメラ博物館運営委員)による講演会
知られざるロシアカメラのあゆみ」(1,000 円 (日本カメラ博物館友の会会員は無料))、

4月21日(日)の14~16時には、「ソビエトカメラ党宣言」(2001年10月19日刊行、原書房 ISBN4-562-03439-4)の著者 中村 陸雄(なかむら りくお)氏による講演会
ソビエトカメラ党宣言」(500 円 (日本カメラ博物館友の会会員は無料))
の開催を予定しております(定員は各50名)。


● 展示予定機種より
  • スポルト(スポールト)」1936(昭和11)年
     旧ソ連邦の GOMZ(国立光学機械工場、後の LOMO)製。同年に市販されたドイツ・イハゲー社の「キネ・エキゼクタ」とならび、世界最初の35mm判一眼レフカメラという説があった。
     板状の 2 枚の金属板の縦走りフォーカルプレーンシャッター、バヨネット式のレンズ交換などの機能を持つ。
  • フェド(フェート)I」(初期モデル)1935(昭和10)年
     独「ライカ II」をコピーしたカメラ。
     旧ソ連邦のチェカ(反革命・サボタージュ及び投機取締全ロシア非常委員会、後のOGUP(全国合同保安部)→NKVD(内務人民委員会)→KGB(国家保安委員会))初代議長 Felix Edmundovich Dzerjinski : 1877~1926)の名を冠したウクライナ・ハリコフの収容施設(ジェルジンスキー・コミューン)で生産。
     オリジナルよりも多く製作されたという。
  • キエフ(キーイフ)2」1950(昭和25)年
     1945(昭和20)年、ドイツ東側地区を占領した旧ソ連邦が、ドレスデンにあったツァイス・イコン社「コンタックス II型」の生産設備の一部をウクライナの首都キエフのアーセナル工場に持ち去って製造したとも(アーセナル工場に移送する前にイエナで製造したとも)いわれる。
     1950年以降、基本的な構造を変えることなく40年近くも製造が続けられた。
  • “KGB 極小型カメラ”「F-21」1951(昭和26)年
     特殊サイズの 21mm 幅フィルムを使用し、画面サイズは 18×24mm。スプリングモーターで自動巻き上げをおこなう KMZ(クラスノゴルスク機械工場)製極小型カメラ。
     35mm(135)判一眼レフカメラ「ゼニット(ズィニート)」のハードケースに仕込んで真横を隠し撮りする装置も、一般向けに再生産されたと思われるモデル「ゼニット(ズィニート) MF-1」もある。
  • キエフ(キーイフ)10 オートマット」1955(昭和30)年
     直線基調のデザインのボディに、金属羽根(先幕 3 枚、後幕 3 枚)が扇形に走行する特殊な構造のメタルフォーカルプレーンシャッター、後方に動きながら上下動するクイックリターンミラーなど独特な機構を搭載したアーセナル工場製35mm(135)判一眼レフカメラ。
     また、外部測光方式のシャッター優先自動露出機構を内蔵した一眼レフカメラとして世界的にみても最初期の存在。
  • スプートニク」1955(昭和30)年
     旧ソ連邦の GOMZ(国立光学機械工場、後の LOMO)製。独フォクトレンダーの二眼レフカメラ「ブリリアント」をコピーした「リュービチリ(ルビテル)」を 2 台繋げたような機構の 6×6cm 判ステレオカメラ。
     ステレオカメラのような特殊なカメラは、西側では不採算となれば生産が打ち切られるのが常だが、計画経済を墨守した旧ソ連邦では、市場の需要は顧慮せずに長期にわたって製造が続けられた。
  • FT-2」1958(昭和33)年
     水平画角110~120度を撮影できる KMZ(クラスノゴルスク機械工場)製パノラマカメラ。
     専用マガジンに装填した35mm判フィルムに、24×110mm の画面を撮影する。
     パノラマカメラとしては小型。
  • ナルシス(ナルツィース)」1961(昭和36)年
     16mm フィルムを使用する画面サイズ 14×21mm の超小型の一眼レフカメラ。
     1/2~1/1000 秒の布幕フォーカルプレーンシャッター、交換可能なファインダーなど精密な作りになっている。
  • “KGB 複写カメラ” 1980(昭和55)年頃
     カメラケースがそのまま複写台になり、内部にある照明装置を組み立てて、撮影画面エリア(24×32cm、18×24cm、12×16cm、6.8×9cm)の指定番号に合わせて各部をセットすることでピントや露出もセットできる KMZ 製カメラ。
     出先での資料複写に便利な作り。
  • “KGB 極小型カメラ” 1980(昭和55)年頃
     9.5mm 幅のフィルムを使用し画面サイズ 8×11mm 、スプリングモーターで自動巻き上げをおこなう極小型カメラ。
     首から吊すなどして、レンズだけを上着のボタンホールなどから覗かせて隠し撮りをすると思われる。
  • ロモ LC-A」1983(昭和58)年
     レンズカバーを内蔵した日本製コンパクトカメラ「コシナ CX-2」(昭和55(1980)年)に酷似した構造で類似した外観デザインの LOMO(レニングラード光学機械協会)製カメラ。
     ソ連邦崩壊後、このカメラを愛好する人々によって、作品展「ロモウォール」の開催といった世界的なムーブメントが広がっている。

タイトル

日本カメラ博物館特別展「- 秘密のベールに包まれてきたカメラたち – 知られざるロシアカメラ」(展示資料:約 150 点)

開催期間

平成14(2002)年2月5日(火)~ 6月23日(日)

常設展等

常設展として「日本の歴史的カメラ」約300点も展示
「日本カメラ新製品コーナー」の展示も併催

図録販売

今回展示される資料を収めた図録を制作し、日本カメラ博物館受付にて販売します。または通信販売もご利用いただけます。

  図録はこちら

開館時間

10:00~17:00

休館日

毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日)および年末年始など当館が定める休館日

入館料

一般 300 円、中学生以下 無料
団体割引(10名以上)一般 200 円

所在地

102-0082 東京都千代田区一番町25番地 JCII 一番町ビル(地下1階)

 

*文中の会社名、製品名は、各社の商標、登録商標です。
*文中の製品名は、各社の正式な社名、商号と必ずしも一致いたしません。